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2004年7月の約1ヶ月間、私たちはコスタリカ大学で「外国人のためのスペイン語講座」を受講した。その初日、大学構内のある場所に行こうと思い、道に迷っていると、おもろそうな警察官が笑顔を振りまきながら、声をかけてきた。このおっさんが、サンホセ滞在中の約3ヶ月間、お世話になり続けた謎の校内警察官「マイノール(Maynor)」である。 おっさんに行きたい場所を言うと、彼は無線を使ってその場所を問い合わせてくれ、おまけにそこまで連れて行ってくれたのである。なんという親切なおっさんなのだろう。 しかもその場で話しが盛り上がり、スペイン語と日本語を教え合ったり、お互いのメールアドレスを交換したり、私たちが 「サンホセで長期滞在できる貸家を探しているんです。」 と言うと、 「よかったら知り合いを紹介しようか。」 と言ってくれた。 それまで、ホンジュラス、ニカラグアでは、おもろいおっさんと出会っていなかったので、このおっさんのおかげで、コスタリカの滞在が楽しくなる予感がした。今から考えると、それは的中していたようだ。 ある土曜日、家の近くのスーパーまで歩いて出かけた。すると、突然、車に乗ったおっさんが声をかけてきた。 「オラー(やあ)、元気?」 誰が声をかけてきたのか、すぐにはわからなかったが、よーーく見ると、おっさんだった。学校と家はバスで20分ほど離れているので、なんでこんなところにおっさんがいるのか、わからなかった。こんな偶然ってあるのだろうか。おっさんとはよほど縁があるらしい。おっさんは助手席に若い女性を乗せていた。私たちは、 (おっさん、なかなかやるなあ・・・) と思った。 おっさんは、 「彼女は僕の生徒なんだ。それじゃ、また」 と言って、嵐のように去っていった。 「な、なんのこっちゃ??」 私たちは顔を見合わせて、途方に暮れた。 「おっさんは確か警察官だったよな?」 あとで改めておっさんに聞いてわかったのだが、おっさんは自動車の運転指導の仕事もしているようだ。本当かどうか知らないが・・・ 私たち夫婦とケニア人のクラスメートのジョンと3人で、食事をするためにカフェテリアに向かって歩いていると、アメリカ人のクラスメートのメリッサとおっさんが、一緒に歩いているのを見かけた。メリッサは足が悪いので、いつも松葉杖を使って歩いているのだが、おっさんは彼女を支えながら、ゆっくりしたペースで付き添っているのである。 「相変わらず、おっさんは親切だなあ・・・」 と思い、私たちは近づいて挨拶した。 実はメリッサは昨日カバンをカフェテリアで盗まれたらしく、おっさんは彼女に事情を聴いていたようである。 その後、5人でカフェテリアで食事をした。なぜかおっさんも食事に付き合ってくれた。その間も、カフェテリアの従業員や学生たちが、次から次へとおっさんに挨拶していた。なんという顔の広さ。 おっさんはメリッサに、テキストをコピーできる場所を教えてあげたり、自分の電話番号を教えて 「何かあったらかけてくるように」 と言ってあげたり、おまけに、お金も盗まれたので、メリッサにお金を貸してあげたりしていたようだ。完全に校内警察官の仕事の域を超えている。 おっさんは無線で呼び出しを受け、嵐のように去っていった。何という優しいおっさんだ。 8月に入り、私たちは別の学校でスペイン語で学んでいたため、おっさんと会う回数が減った。久しぶりにおっさんの顔が見たくなったため、コスタリカ大学に行ったのだが、どこを探してもおっさんはいない。そこで、別の警察官をつかまえて、 「マイノールと会いたいのだが、どこにいるのか?」 と聞いてみた。すると彼は、 「ちょっと待ってね。無線で呼んでみるから・・・」 と言って、おっさんを呼び出してくれた。 5分後、パトカーの助手席に乗って、おっさんが颯爽と登場した。大事件の現場にでも駆けつけるかのごとく登場したので、私たちは少々恐縮してしまった。ただ、その後はつい盛り上がってしまって約30分間、立ち話を続けたのだが・・・。 仕事で忙しいのに、私たちのどうでもいい用事にわざわざ駆けつけてくれるなんて、本当にいいおっさんである。 コスタリカを出国する前日、 「やっぱり最後は、きちんとおっさんに挨拶しておかなくちゃ」 と思い、同じように無線で呼び出してもらった。すると相変わらずパトカーに乗って颯爽と現れた。 するとおっさんは、 「とりあえずパトカーに乗りなさい」 と言って、私たちをパトカーに乗せてくれたのである。まさか、コスタリカでパトカーに乗ることができるなんて・・・。ちょっとうれしかった。 私たち 「実は明日、出国なんで挨拶に来ました」 おっさん 「そうか。それは残念だなあ。そうしたら、今晩、私の妻と一緒にどこかで食事をしようか。妻もあなたたちに会いたがっているし。でも、妻は今、病気なのでどうなるかわからないから、とりあえず、今晩、電話するよ。」 その夜、おっさんから電話があり、やっぱり奥さんは同席できないということがわかった。ということは私たち夫婦とおっさんの3人で食事をすることになりそうだ。 約束のレストランでおっさんの登場を待っていると、なんとおっさんは助手席に女性を乗せてやってきたではないか。奥さんは来ないはず。ということは・・・。 おっさんは彼女を私たちにこう紹介した。 「彼女は、僕の友達のベアトリス(Beatriz)です。」 (おっさん、なかなかやるなあ) と私たちは思った。見てはいけないものを見てしまった気分になった。 しかし、実はそうではなく、ベアトリスはコスタリカ大学の先生をしており、彼女の息子のホルヘ(Jorge)は、佐賀県に一年間留学していたため、彼女も日本のことに興味があったので、彼女なら私たちと楽しい会話ができるのではと思い、気をきかせて彼女を連れてきてくれたのである。 しかし、すぐにベアトリスのような人を連れてきてくれるなんて・・・。なんという人脈の広さ。 レストランで食事をした後、みんなでベアトリスの家に行き、息子のホルヘたちと楽しく話しをした。コスタリカ最後の夜は、おっさんのおかげで本当に楽しいものになった(上の写真参照)。 ベアトリスもとても親切な人で、 「翌朝に近くの火山に行こう」 と誘ってくれたり(結果的に荷造りで忙しく行けなかったが)、パナマ行きのバスターミナルまで車で送ってくれたりした。おっさんはいい人脈をたくさん持っているようである。 コスタリカ最後の夜、いよいよ家を出ようとしていたその時、家の電話が鳴った。おっさんからだった。 「何の用事もないんだけど・・・。いい旅にして下さい。これからもメールでやり取りしよう。コスタリカに戻ってきたら必ず連絡して下さいね」 それだけではなく、パナマに到着してメールを受信した時も、おっさんからのメールがすでに来ていたのだ。 「パナマでは順調ですか?あなたたちがパナマでどうしているのか知りたいから、メールを下さい。あなたたちのアミーゴのマイノールより」 なんという優しいおっさんだろう。おっさんとは今でも頻繁にメールでやり取りしている。 最後に、おっさんからの日本の皆さんへのメッセージ。 「コスタリカはトロピカルな国。コスタリカ人の心もトロピカル。日本人はとても親切なので大歓迎。みんな、来てください。」 |
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